世界映画史
映画のこれから

世に存在する事物、様々な歴史を語る上で、最も大事なのはその原点ではないでしょうか。映画についてももちろんそれは例外ではないと思います。

そして原点というものを語る上で「なにをもって原点とするのか」を、まず定義することが必要となってきます。
そもそも映画とはなんなのか? これについては、ぼく1人で決めるのは非常に難しいのですけど、あらかじめ録画しておいた映像を再生し、不特定多数の人々に見せるものを映画として、今日この場では定義することで話を進めさせていただきます。

でないと、その作業だけで1カテゴリがまるごと埋まってしまいかねないですし。

1893年、当時既にメンロ・パークの魔術師と異名を取っていた、アメリカの希代の天才発明家、トーマス・エジソンが「キネトスコープ」という名の映像を再生する装置を開発します。これは残念ながら1度に1人だけしか観れないというものだったそうです。
今回の定義ですと、これは映画ではないということになっちゃいます。でも、エジソンってすごすぎと思いません? 直列電流に蓄音機、電球にラジオまで作っちゃって、もうなんだか、ぼくの生活のあらゆる全てにエジソンが関わってる気さえしてくる…おおっと、なんだか話がそれちゃいました。

さてさて、とりあえずエジソンは於いておくとしまして(これについてはまた後日語りたいのですが)1895年3月にリュミエール兄弟が作り出した「シネマトグラフ・リュミエール」で公開された「列車の到着」他、全12作品が人類最初の映画だと言えるでしょう。

これは1894年、リュミエール兄弟がエジソンの発明した「キネトスコープ」の仕組みを元にそのまま流用し、スクリーンに投射できるように改良しただけの、とてもシンプルなものです。しかし、現在まで使用されている映写機と基本構造がほとんど変わらないほど完成度の高いものであったと言われています。
ちなみに内容の方はどうだったのかといいますと、ただ単に駅に列車が入ってくるのを撮影しただけのものだったり、どれもわずか数分で、現在のように音も声も無かったようでした。
けれど、それがどんなものであったとしても、最初の発明品となるものは、基本的にはそういう風になってしまいますし、むしろ逆に、映画というものに生まれて初めて出会った、その時の人々の興奮と感動は、昨今のぼくらが失って久しい物ではないでしょうか。そんな風に思うと、映画の誕生に立ち会えた人々のことを、ぼくは少しだけ羨ましく感じます。

それにしても、現代に於いてもしこういう発明の仕方をすると、ただではすまないような…色んな意味で寛容な時代だったのでしょうね。

ちなみにリュミエール兄弟はその後の1907年、世界で初めてカラー写真を実用化し、販売へと発展させました。エジソンといい、この時代の発明家は実に多芸なものですね。
あぁでも、よく考えればリュミエール兄弟はそもそもが写真屋なのです。つまり、元々はそちらが本業だったというオチがついちゃうわけなんですけどね。

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